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アンティーク時計がゼンマイ切れする3つの原因とメンテナンスのススメ

アンティーク時計は、懐中時計の時代から1970年初頭くらいまでに製造された「機械式時計」のことです。

他の人とかぶることがないことから時計好きの方だけでなく、古着やヴィンテージが好きな方にも人気があります。製造から長い年月を経ているため、資料が非常に少なかったり希少性が高かったりと、現在生産されている時計とは違った職人のこだわりがみえるなどの魅力があります。

ただ、アンティーク時計は取り扱い方が難しいという印象をお持ちの方も多いです。そのため、興味があって購入してみたものの、突然動かなくなってしまったという経験をしたことのある方もいるのではないでしょうか。

アンティーク時計が動かなくなる原因は、ぶつけたり落としたりして強い衝撃を与えてしまったなどのほかにも、さまざまなものがあります。

この記事では、アンティーク時計が動かなくなる原因のひとつである「ゼンマイ切れ」について詳しくご紹介します。

アンティーク時計が突然動かなくなってしまった方や、アンティーク時計に興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。

ゼンマイ切れとは

ゼンマイ切れ

アンティーク時計などで使用されているゼンマイは、自動巻き時計でも手巻き時計でも関係なく切れてしまうことがあります。はじめてゼンマイが切れるとショックを受けてしまうかもしれませんが、実はゼンマイは消耗品であるため、切れてしまうのは仕方のないことなのです。

ここではまず、ゼンマイの役割や寿命、ゼンマイ切れが起こったときの症状について詳しくご紹介します。

ゼンマイの役割

ゼンマイは、すべての機械式時計の原動力となる部分です。時計以外でも、ゼンマイを使ったブリキのおもちゃや、ミニカーのチョロQなどで見たことがある方もいるのではないでしょうか。

機械式時計は、リューズやローターの回転によってゼンマイを巻き上げると元に戻ろうとする力が発生し、それを動力に時計が動く仕組みになっています。

ゼンマイは、長細く平たい金属板がぐるぐると巻かれている状態になっています。この平たい板が巻き上げられることによりバネのように伸び縮みし、その反発力と収縮する力で歯車が動き出すのです。

この金属板が切れてしまうと、時計を動かす原動力がなくなってしまうため、当然時計は動かなくなってしまいます。これがいわゆる「ゼンマイ切れ」という状態です。

ゼンマイの寿命

ゼンマイは、性質上力のかかる状態が頻繁に変化するため、丁寧に時計を扱っていたとしてもある程度の年数使用していると切れてしまう可能性があります。

しかし、長年の使用によるものという理由では説明ができない切れ方をする場合もあるので、メンテナンスをしたばかりだからといって、ゼンマイが切れないとは言い切れません。

毎日使用しているのに20年以上ゼンマイが切れないこともあれば、ゼンマイを交換して1年も経たずに再度切れてしまうこともあります。

ゼンマイには平均寿命というものがないため、「時計の使い方が悪かったのではないか」などと自分を責める必要はありません。高級な時計でもゼンマイが切れてしまうケースはよくあるので、切れてしまったからといって気にしない方がよいでしょう。

ゼンマイ切れが起こったときの症状

ゼンマイ切れが起こると、時計が動かないという症状が起こります。リューズを巻いても手応えがなく、クルクルと空回りするような状態です。

通常であれば、しばらくリューズを巻くと巻き上げが重たくなったり、固くなったりという感覚を感じられますが、ゼンマイが切れてしまうといつまで巻いてもその感覚がありません。

手巻き時計を愛用している方は、少なくとも2日に1回はゼンマイを巻く習慣があるため、ゼンマイ切れが起こるとすぐに気付く方が多いです。

しかし、自動巻き時計の場合はゼンマイを手巻きする習慣がない方もいますので、ゼンマイ切れで時計が止まったと気付く方は少ないかもしれません。

自動巻き時計を持って少し振ったときに、秒針が2、3秒動いたあと数秒逆転する場合は、ほとんどがゼンマイ切れによるものです。

急に時計が止まって驚かれるかもしれませんが、時計を振っても動きださない、ゼンマイを巻き上げるとリューズが軽く巻けるときは、ゼンマイ切れの可能性が高いことを知っておきましょう。

ゼンマイ切れが起こる3つの原因

ゼンマイ切れ

時計好きを惹きつけてやまないアンティーク時計。大切に使っていたのに、ある日突然動かなくなってしまうと驚いてしまいますよね。

アンティーク時計のゼンマイが切れてしまうのには、いくつか原因があります。ここでは、ゼンマイ切れが起こる代表的な3つの原因について詳しくご紹介します。

金属疲労

ゼンマイ切れが起こる原因としてもっとも多いのは、金属疲労によるものです。ゼンマイは金属でできているため、使用頻度や経年による劣化が起こるのは当然のことだからです。

ゼンマイは、必ずいつかは切れてしまうことを前提として考えられており、時計屋さんでも完全に消耗品として扱われています。

ゼンマイは、香箱という箱に円状にかなりピッタリの状態で収納されています。そのため、中心部分は円周が小さく、巻き上げられた部分が固く絞られたようになり、強い負荷がかかってしまうのです。

ゼンマイ切れの約7割が、この中心部分に近いところで起きていますが、ゼンマイを収納する際に外周付近に折れ癖がついてしまうと、中心部分以外のところも切れやすくなってしまう場合もあります。

また、ゼンマイの先端にある接続部分も、形や作りが弱い繊細な部分です。少なからず負荷がかかった状態が続くため、切れやすくなっていてもおかしくありません。

もともとの質がよくない

古い年代のアンティーク時計や懐中時計などは、鉄でできたゼンマイが多いです。そのため、新しいものと比較すると質の均一性の問題で切れやすい場合があります。

しかもゼンマイは、バネのように伸び縮みするようになっており、どうしても個体差が出てしまいます。個体差があるということは、耐久性に違いが出てしまうのは、ある程度避けられないことなのです。

また、ゼンマイを入れる技術も関係してくるので、綺麗に収納されていなかったり、変形された状態で収納されたりしているとゼンマイ切れの原因となります。

巻き止まり後も巻き続けた

手巻きの腕時計は、リューズを回すとゼンマイが巻き上がる仕組みです。通常は最大まで巻き上げると巻けなくなりますが、その後も力一杯巻き上げるとゼンマイが切れてしまう原因となります。

しかし普通に使用している分には、巻きすぎてゼンマイが切れてしまうことは基本的にありません。なぜなら、巻き止まり後も巻き続けるには、かなり力を入れた状態で巻かなければならないからです。

壊そうと思って巻かない限り、巻き上げすぎが原因でゼンマイが切れることはないと考えてよさそうです。

ゼンマイ切れさせないためのメンテナンスのススメ

オーバーホール

よく、オメガやロレックス、セイコーなどのアンティーク時計を目にしますが、ゼンマイ切れをしてしまっても基本的にはメーカーで修理をしてもらうことはできません。

その理由は、一般的にメーカーでの部品保有期間は10年前後と決められており(ロレックスは25年)、一定期間をすぎるとパーツの交換ができなくなってしまうからです。

アンティーク時計がゼンマイ切れしてしまった場合は、アンティーク時計を取り扱っているお店や時計修理専門店などで直してもらうことになります。

そもそも、ゼンマイが切れてしまうと他の部品を傷めてしまう可能性もあるため、切れてしまう前に定期的にメンテナンスに出しておくことが大切です。

一般的に、時計内部にある油は約4年程度で乾くといわれています。時計内部の油が乾いてしまうと、部品に摩擦がかかり徐々に消耗してしまいます。そのため、メンテナンスを受ける時期は、ゼンマイが切れたかどうかではなく、前回オーバーホールを行ったのはいつなのかが重要なのです。

また、月に1度は以下の動作確認を行い、その結果によっては早めにオーバーホールを依頼するようにしましょう。

  • 時間の遅れはないか。許容範囲は1日で1分以内の遅れ。
  • リューズの操作に問題があるか。巻き上げ時の異音や不具合の有無。
  • カレンダー機能に問題がないか。

多くのアンティーク時計ユーザーは、不具合が出てから修理に出す方が多いですが、3〜4年を目安にオーバーホールに出すことをおすすめします。

まとめ

アンティーク時計が動かなくなる原因のひとつである「ゼンマイ切れ」について詳しくご紹介しました。

アンティーク時計のゼンマイ切れは、使用年数に関係なく起こることがあるため一概にはいえませんが、日頃から動作をチェックしておかしなところがあれば、早めにメンテナンスに出すことが大切です。

メンテナンスに出す場合は、部品の交換が発生した場合のことを考えると、古い時計に精通しているプロに任せた方がよいでしょう。

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