アンティーク時計が磁気帯びした時の対処法を詳しく紹介
アンティーク時計
磁気はアンティーク時計の天敵です。
時計に限らず細かい部品を駆使して作られている精密機器では、内部で使用されている部品が磁気の影響を受けると性能へ悪影響を及ぼす可能性があります。腕時計の場合、磁気の影響により時計表示の精度が悪くなったり、内部の部品が破損する原因になるケースが考えられます。
昔に作られたアンティーク時計は、現在販売されている時計よりも耐久力が弱く、より磁気による影響を受けやすいです。そのため、磁気による時計への影響を防ぐ対処法を知らなければ、大切なアンティーク時計を長く使い続けることができません。
この記事では、磁気がアンティーク時計に与える影響と、磁気帯びを防ぐための対処法を詳しく説明していきます。アンティーク時計を持っている方、保管方法に悩んでいる方、長く使い続けたいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
アンティーク時計が磁気帯びした時の影響
磁石が鉄に接触すると、磁石を離した後も接触した鉄がしばらく磁石の性質を持つようになることを知っていますか?この状態のことを「磁気帯び」と呼びます。
とくにアンティーク時計はこの磁気帯びに気を付けなければいけないと言われていますが、その理由を以下で詳しく解説していきます。
磁気を帯びやすい金属が使われている
皆さんご存じの通り、アンティーク時計をはじめとする機械式の時計の内部には、数多くの精密な部品が細かく内蔵されています。
近年に発売された機械式ムーブメントの多くの部品は、磁気を帯びない真鍮やプラスチックを用いています。しかしアンティーク時計は、外部からの磁界をゼロにしても強い磁気が残る強磁性体と呼ばれる金属をムーブメントに使用しているのが一般的です。
アンティーク時計はとくに磁気帯びに気を付けなければいけないと前述した理由は、ゼンマイに使われている部品が磁気を帯びやすいからです。そのため、磁気が発生している場所でアンティーク時計は保管しない、通らないように注意した方が良いと言われているのです。
とくに磁気帯びの影響を強く受けるといわれているのが、時計の心臓部分であるテンプを構成するパーツが「ひげゼンマイ」の場合です。
スチール線が渦巻き状の形をしている「ひげゼンマイ」は、髪の毛くらい細くて繊細なパーツでありゼンマイ同士が引き合う伸縮運動で針を進めているため、磁気帯びにより進んだり遅れたりといった影響が色濃く出てしまいます。
精度に悪影響を及ぼす
機械式ムーブメントが磁気帯びの状態になると、時計の進みや遅れの原因になります。
前述した「ひげゼンマイ」は伸縮を繰り返して時間を刻みますが、磁気帯びの状態になると内蔵さているパーツを引き付けてしまいます。伸縮運動により針を進めているためパーツを引き付けると伸縮に乱れが発生し、正確な時間を刻むことができなくなってしまうのです。
その他にも、完全に時計の針がストップする止まりの原因になることもあります。最近では、磁気の影響を最小限にする工夫を凝らした耐磁時計が市販されていますが、アンティーク時計にはそのような加工は施されていません。
ちなみに、磁気が悪影響を及ぼすのは機械式時計だけではありません。
クオーツ式は磁石の性質を利用してモーターを駆動させる方式を採用しているため、機械式よりも強く磁気による影響を受けます。デジタル式のクオーツ時計は、ゼンマイやモーターで時刻表示していないため影響はありません。
アンティーク時計を磁気帯びから守る方法
正確な時間を刻めなくなるだけではなく、部品が破損してしまう原因にもなり得る磁気帯び。製造されてから長い時間が経過しているアンティーク時計においては、最近発売された時計よりも慎重に磁気から守らなければいけません。
ここからは、アンティーク時計を磁気帯びから守る方法を2つ紹介していきます。
磁気から離す
アンティーク時計を磁気帯びから守る一番の方法は、磁気発生源に近づけないことです。
磁気の力と距離は比例していますので、距離を離せば磁気は弱まります。耐磁時計は5センチ、非耐磁時計は10センチ以上磁気発生源から離せば安心です。
しかしこの距離は、製品が発している磁気の強さにより異なります。たとえば、携帯電話のスピーカ部は10センチ以上離さなければいけませんが、ノートパソコンは5センチ離せば大丈夫です。
最も身近で強い磁気を発しているのはスマートフォンで、次は電気かみそりです。これらの近くにアンティーク時計を長時間放置することは避けるようにしましょう。
磁気発生源を知る
アンティーク時計を磁気帯びから守る方法として「離す」と紹介しましたが、発生源を知らなければその対応も取れません。
我々の身近にあるもので、常に強い磁気を発しているのは以下の製品です。
- スマートフォンのスピーカー部分
- 携帯電話のスピーカー部分
- タブレット端末
- ノートパソコン
- 磁気健康敷布団
- 健康磁気製品
- バッグに付いている止め具
- 電気かみそり
とくに気をつけなければいけないのが、スマホやパソコンのスピーカー類です。常に強い磁気を発している製品で磁界が強いので、極力アンティーク時計は離すようにしてください。
しかし、神経をすり減らすほど神経質になる必要もありません。磁気に弱いといっても多少の耐性はありますし、近づけたらすぐに磁気帯びになると決まっているわけではありません。
5センチから10センチくらい離せば問題ありませんので、極力近づけないようにしよう、近くに置かないようにしようと覚えておくだけで十分かと思います。
アンティーク時計が磁気帯びした時の対処法
アンティーク時計が磁気帯びにより悪影響が出ている場合、対処しなければさらに深刻な事態に陥る可能性があります。その対処法としておすすめしたいのが、「磁気抜き」です。
ここからは、磁気抜きの方法を紹介していきます。
磁気を帯びているか確認する方法
まずは、本当に自分が持っている時計が磁気帯びが原因で故障しているかどうかを調べる方法を紹介していきます。
時計修理専門店では磁気チェッカーを使って磁気帯びをチェックしますが、個人で所有している方は少ないでしょう。簡易的な方法としておすすめしたいのが、方位磁針です。
方位磁針を磁気帯びしている可能性がある時計に近づけると、何らかの反応を示します。しかし、これはあくまでも簡易的な方法であり、反応を示したからといって100%磁気帯びが原因で時計に影響を及ぼしていると断言できるわけではありません。
ひとつの目安として、方位磁針で磁気帯びを確認することができるということは覚えておいて損はありませんので。周囲に磁気発生源がないことを確認しながら確かめてみましょう。
業者へ依頼する
磁気帯びの確認、または確実な脱磁を実現するためには専門業者へ依頼しましょう。
保証書を持っているのであれば正規メーカーへ依頼することもできますが、ない場合は時計修理の専門店へ依頼しても問題ありません。業者へ依頼する場合の費用は1,000円から2,000円程度なので、安価で修理してもらうことができます。
ちなみに、磁気抜きは市販で販売されている機器を使って自宅でも行えます。安く販売されている手持ちタイプから、業務用の据え置きタイプまでさまざまなものが販売されていますので、アンティーク時計をたくさん持っている方は所持しておいても良いかもしれません。
まとめ
アンティーク時計の天敵である磁気を帯びた時の影響、発生源、磁気帯びした時の対処法などをまとめて紹介してきましたが、参考になりましたか?
磁気は目に見えないものなので、知らない間に自分のアンティーク時計が磁気帯びしてしまったなんてことも珍しくありません。時計の遅れや進みが目立ってきたり、針が進まなくなってきたら磁気帯びが原因の可能性がありますので、必ず適切な処置を行ってください。
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