アンティーク時計のリューズが取れる原因と対処法を詳しく紹介
アンティーク時計
腕時計の内部構造は緻密で複雑です。そのため、扱い方を間違えてしまえば、それが原因で取り返しがつかない故障に繋がってしまうこともあります。
時計は多数のパーツが揃い、それぞれが欠かせない役割を担うことで複雑な機構は成立しています。時間、日付け、カレンダーなどを合わせ、ゼンマイを巻きあげるために付けられているリューズもまた、腕時計の中核部分を担うために欠かせない重要なパーツのひとつです。
竜頭と表記されることもあるリューズは腕時計に欠かせないパーツですが、その重要性を完全に理解している方は少ないでしょう。
また、アンティーク時計のように製造から長い年月が経過している時計の場合、消耗品であるリューズが取れてしまったなどのトラブルに遭遇する機会も珍しくありません。
この記事では、アンティーク時計のリューズが取れた時の対処法はもちろん、役割や取り扱う時の注意点を詳しく解説していきます。アンティーク時計を長く大切に使いたい方、リューズが取れてしまった方、パーツの仕組みを詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもリューズとは
はじめに、そもそも時計に付いているリューズはどのような役割を担っているパーツなのかをわかりやすく解説していきます。
役割
機械式の腕時計には手巻き式と自動巻き式がありますが、どちらにも必ずリューズが付いています。文字盤でいえば3時の隣に配置されている突起物で、引っ張ったり回したりすることで腕時計の以下の役割をになっています。
- ゼンマイを巻き上げる
- 時刻やカレンダーを合わせる
自動巻き式は振動により自動でゼンマイが巻き上げられる仕組みになっているためリューズを回す必要はありませんが、手巻き式はリューズを回すことで駆動します。
一般的なリューズの回し方は以下の通りです。
- 通常時⇒ゼンマイを巻くことができる
- つまみを1段階引いた状態⇒カレンダーを合わせる
- つまみを2段階引いた状態⇒長針と短針を合わせる
このように、リューズのつまみを引っ張ることでゼンマイ、カレンダー、針と合わせることができる役割が変わっていきます。ちなみに、つまみを2段階引いた状態で右に回すと時刻が進み、左に回すと時刻が戻ります。
しかし、これは一般的な仕組みであるため、時計の種類やブランド、モデルによって巻き方が変わる場合があります。自分で操作してみるか、詳しくは購入時に店員さんへ確認しましょう。
種類
リューズには2つの種類があり、それぞれで使用方法が異なります。
- 引き出し式
- ねじ込み式
一般的なアンティーク時計に用いられているのは、引き出し式です。これは上記項目で説明した通り、指でつまんで引っ張ると箇所を変更できるタイプです。
ねじ込み式は一部のダイバーズウォッチと一部のロレックスで採用されているタイプで、水やホコリの侵入を防ぐため、引っ張るのではなくねじ込むことで調節できるようにするというものです。
指で引っ張ることができない、硬くて指でつまめないリューズの場合、引き出し式ではなくねじ込み式の可能性があるので注意してください。
注意点
リューズの取り扱いに関する注意点は、以下の通りです。
- 巻き止まりを超えないようにする
- 20時から4時の間は操作してはいけない
アンティーク時計に詳しくない方はどちらも意味がわからないと思うので、簡単に解説していきます。
巻き止まりとは、手巻き式時計のリューズを回した時にゼンマイがすべて巻き上がっている状態のことを指します。つまり、これ以上は巻けませんよという合図です。通常は約40回前後リューズを巻くと巻き止まりになりますが、メーカーによってはない時計もあります。
巻き止まりであるにも関わらずリューズを巻き続けてしまうと、ゼンマイが破損してしまう原因になります。毎日この時間にリューズを回すというルーティーンを決めておくと、回しすぎを防止することが可能です。
続いて20時から4時の間にリューズを回してはいけないというものですが、これは日付けとカレンダーを動かすための部品である日送り車と呼ばれる歯車が大きく影響しています。
20時から4時の間に日付けディスクのツメが突起に引っ掛かりカレンダーを動かしているため、その間に時間変更をするとそれぞれが引っ掛かってしまう危険性があります。
巻き止まりを超えない、20時から4時の間は操作しないとう2点は必ず覚えておきましょう。
アンティーク時計のリューズが取れた時の対処法
冒頭でも説明した通りリューズは消耗品なので、作られてから長い月日が経過しているアンティーク時計の場合、経年劣化により衝撃に耐えることができなくなり取れてしまうというトラブルはよく起こります。
ここからは、アンティーク時計のリューズが取れる原因と対処法を紹介していきます。
原因
アンティーク時計のリューズが外れてしまうのは、支えている部品が経年劣化により破損してしまうという原因が挙げられます。
- オシドリ
- 巻き芯
リューズが取れる原因として主に考えられるのが、オシドリと巻き芯の破損です。
オシドリとは、リューズが抜けないようにロックするための部品です。頑丈にできている金属製部品ではありますが、消耗品なので少しずつ摩耗していきます。
巻き芯は時計の内部でリューズを繋いでいる金属の棒ですが、こちらも同様に消耗品なので長く使い続けていれば経年劣化による破損は防げません。
原因はリューズを支えている部品の破損が一般的ではありますが、他にもリューズそのものが折れてしまうなどのトラブルも考えられます。
修理業者へ依頼するのがベスト
リューズが外れてしまう原因がオシドリや巻き芯の破損であれば、自分自身で時計を分解して新しい部品を装着することで直すことができます。しかし、その場合でも破片が中に残ってしまっていたり、細かい部品をなくさないように慎重に行わなければいけませんので、相当慣れている方以外にはおすすめできません。
最もおすすめしたい対処方法は、時計の修理業者へ依頼するというものです。
アンティーク時計は部品のストックが少しずつなくなっていきますので、時計修理業者へ依頼しても修理が終わるまでに時間がかかる可能性はありますが、プロの時計技師に依頼して慎重に修理してもらった方が安心感はあります。
ネジの緩みなどが原因であれば自分でもすぐに直せますが、前述したようにリューズを支えている部品の破損で外れてしまった場合は、プロへ依頼するのが良いでしょう。
どの部品が壊れて新しく新調しなければいけないのかにもよりますが、一般的には5,000円から10,000円くらいの費用感で修理が行えます。これはパーツ込みの値段になりますので、大切なアンティーク時計を長く使うためにも早急に業者へ依頼して修理してもらいましょう。
取れる以外のリューズのトラブル
リューズは消耗品であり、手巻き式の場合は頻繁に触る部分なので取れるというトラブルはよくあるものです。しかし、それ以外にもリューズには以下のトラブルがあります。
- 回らなくなってしまった
- 時刻を設定できなくなってしまった
リューズの回転がスムーズにいかない、重たい、引っ張れない、回らないというトラブルは、原因が錆びであることが多いです。巻首が錆びているとうまく回せない状態になりますので、その時はリューズを新しいものに変更しましょう。
また、内部の部品破損により歯車がズレたり空回りすることで、リューズを回しても時刻を設定できなくなるというトラブルもよくあります。
原因が歯車のズレであれば素人では修復できない部分なので、この場合はプロの方へ修理を依頼するようにしてください。
繰り返しになりますが、リューズは消耗品なので錆びや経年劣化による破損は長く使い続けていれば必ず訪れます。
オーバーホールなどで定期的にメンテナンスを行っていれば、その時にリューズの状態も点検してもらえます。アンティーク時計を長く使い続けたいと思っている方は、数年に1度は必ずオーバーホールに出すようにしましょう。
まとめ
アンティーク時計のリューズが取れる原因、注意点、取れた時の対処法などを詳しく解説してきましたが、参考になりましたか?
古き良きビンテージ感が魅力的なアンティーク時計ですが、内蔵されている部品は消耗品です。定期的なメンテナンスにより半永久的に使えますので、リューズをはじめとする部品のひとつひとつを大切に扱い、長きに渡る大切なパートナーとして歩んでいきましょう。
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