アンティーク時計のリペアの対象となる部品や重要ポイントを解説
アンティーク時計

職人の手で一つひとつ丁寧につくられたアンティーク時計は、シンプルかつ洗練されたデザイン性と希少性の高さからたくさんのファンに愛されています。
アンティーク時計は、繊細な部品を組み合わせて駆動させているため、取り扱いにはくれぐれも注意しなければなりません。
高級腕時計メーカーのアンティーク時計はとても高価なため「故障してしまったらどうしよう」と考える人も多いと思いますが、リペアで故障や不具合を直すことが可能です。
今回は、アンティーク時計のリペアの対象となる部品や重要ポイントをわかりやすく解説していきます。
これからアンティーク時計を購入しようと考えている方が安心できる情報も取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。
アンティーク時計のリペアとは
リペアとは、修理・補修・回復などを意味する言葉であり、アンティーク時計の場合は部品の破損や劣化を修理する場合に用いられます。
アンティーク時計は、主に1960年代〜1970年代までに製造されたゼンマイを動力とする機械式時計のこと指しますが、その多くが同じ構造でつくられています。
パーツさえあれば古い年代につくられたアンティーク時計のリペアも可能ですが、防水機能がないアンティーク時計のひび割れなどは致命的なダメージとなり、場合によっては修復が難しい場合もあります。
アンティーク時計を長く使用したい場合は定期的なメンテナンスが重要になりますが、何かおかしいと感じたら時計修理店の専門家に早めに相談することをおすすめします。
アンティーク時計のリペアの対象となるもの
アンティーク時計はケースやベルトなど外観にあたるものから、ゼンマイを巻く部分のリューズまでリペア対象となります。
具体的に、どのような故障や劣化がリペアの対象になるのかをご説明していきます。
ケース・ベゼルのリペア
腕時計の胴体でムーブメントを収める役割を担うケースや、ケースの周りを囲むリングの形状をしたベゼルのリペアは、交換や研磨が検討されます。
アンティーク時計は、内部の部品に関しては見た目を損ねることなく交換できますが、ケースやベゼルに関しては、別モデルの純正品や社外品が用いられるため、見た目が大きく変わってしまいます。
そのため、アンティークを特徴づける部品に関しては無理に交換をしないのがポイントです。
また、傷を研磨で修復する場合、素材によっては磨くこと自体できないケースがあります。
多少の傷に関してはアンティーク時計ならではの味と考え、現状のままにしておくことも考えましょう。
ベルトのリペア
アンティーク時計のビジュアルで重要なベルトのリペアですが、破損の場合は交換、傷の場合は研磨が検討されます。
腕時計の部品の中でもベルトは経年劣化が表れやすい場所のため、自分でベルト交換を行うという選択肢もあります。
ただし、本体を傷つけてしまう可能性があるため、リペアに対応してくれる時計修理店に依頼するのがベストでしょう。
ベルトの素材は金属製や革など種類が豊富なため、リペアのタイミングで別の素材に交換してしまう選択肢もありです。
廃盤になったモデルの純正のベルトに交換したい場合は、メーカーとコネクションのある専門店を探してみましょう。
リューズのリペア
手巻き式時計のケースのサイドに付いているリューズはゼンマイを巻く大事な部品で、破損した場合は他のものに交換できます。
機械式腕時計はリューズを定期的に回して駆動させなければならないため、どうしても経年劣化を避けられない部分です。
そのため、リューズは消耗品という扱いがされており、時計修理店にいけばすぐに修理や交換に対応してもらえます。
使用中にリューズが取れてしまった場合、自分で取り付けることもできますが、内部パーツが破損してさらに深刻な故障に繋がる可能性があるため、専門家にみてもらうのが無難です。
クリーニング
腕時計すべてにいえることですが、長く使用していると汚れが付いたり、隙間にゴミが入ってしまったりすることは避けられません。
そのため、汚れている部品や素材に適切な洗浄を行うことで綺麗な状態に戻り、寿命を延ばすことができるのです。
クリーニングを自分で行う人もいますが、時計修理店に依頼すれば素人目ではわからない汚れも落としてもらえます。
オーバーホール
「針が動かない」「動作が明らかにおかしい」といった場合は、時計の内部をメンテナンスするオーバーホールが必要となります。
オーバーホールとは、時計の内部の部品を分解して一つひとつチェックし、必要に応じて洗浄や部品交換を行うことを指します。
たとえば、時計の内部で固まってしまった油や隙間から入り込んだ水滴などを洗浄して、稼働寿命を延ばすこと可能です。
また、洗浄や部品交換だけではなく、タイミング調整もできます。
ロレックスなどの高級腕時計の場合、5年を目安としてオーバーホールを行うことが推奨されています。
アンティーク時計の場合は、ムーブメントの動きを滑らかにする円滑油が固着しやすいため、3年を目安としてメンテナンスしましょう。
アンティーク時計をできるだけリペアの対象にさせないためのポイント
アンティーク時計のリペアはメーカーによって料金が異なり、場合によっては10万円近くかかることもあります。
致命的な故障は大きなコストが発生するため、できるだけリペアの対象にさせたくないと誰しもが考えるでしょう。
そこで、日頃からどのようなことに気をつけていけばアンティーク時計の良い状態を長く保てるのかをご紹介していきます。
毎日同じ時間にゼンマイを巻く
機械式のアンティーク時計は、毎日同じ時間に正しい方法でゼンマイを巻くことが長持ちさせるポイントになります。
なぜなら、針が止まった状態で長期間放置した場合、円滑油が固着して再稼働に不具合が生じる可能性があるからです。
日常生活の中でゼンマイを巻くことをルーチン化させて、「12時の方向にリュウズを慎重に回し、6時の方向にやや戻す」という正しいやり方で毎日欠かさずに巻きましょう。
振動や衝撃を与えない
アンティーク時計の破損や傷は、振動や衝撃、摩擦によって生まれるため、作業中や運動中は外すなどして対策しましょう。
「傷がついても磨いてもらえばいい」と考える人もいますが、アンティーク時計の場合はそうかんたんにいきません。
先にご説明した通り、ケースやベゼルは素材によっては研磨自体ができず、交換をしてしまうとそのモデル特有のデザイン性が失われてしまうからです。
同じモデルの純正品が見つかれば見た目を損ねることもありませんが、アンティーク時計の場合は見つけることが困難なため、振動や衝撃にはくれぐれも注意しましょう。
防水性能に過度な期待をしない
アンティーク時計の多くは防水性能がなく、多少の水の侵入でも故障に繋がってしまう可能性があるため、水辺での使用は注意が必要です。
手を洗った際に多少跳ねた水滴でも故障に繋がる可能性があるため、水滴が使いないほうに取り外したり保護したりして対策しましょう。
雨天時の使用はもちろんのこと、夏場の汗もアンティーク時計にとって大敵となるため、リペアを避けたいのであれば必要に応じて使用を控えることをおすすめします。
防水性能が備わっているアンティーク時計もありますが、長年使用されたことにより性能が著しく衰えていると考えておきましょう。
できる限り磁気帯びを避ける
アンティーク時計は部品に鉄が使用されていることがあり、磁気に近づけると磁気不良によってムーブメントに不具合が起こる可能性があります。
日常生活で接触しやすいスマートフォンやパソコンなどにはできるだけ近づけないように注意しましょう。
【磁気帯びの原因となるもの】
- スマートフォン
- パソコン
- テレビ
- 電子レンジ
- 冷蔵庫
- パチコン・スロット台
磁気との接触時間が長ければ長いほど磁気を帯びてしまい、時間の進みが正常ではなくなってしまいます。
接触を完全に避けることは難しいですがノートパソコンの上にアンティーク時計を置きっぱなしにしたり、同じバッグにスマホと一緒に収納したりするとリスクが生じるため、注意しましょう。
まとめ
ゼンマイを巻いて駆動させる機械式のアンティーク時計は、メンテナンス次第で半永久的に動きますが、突然の故障に対してはリペアが必要になります。
アンティーク時計のリペアは、状態に応じて部品の交換や研磨、内部の洗浄で綺麗な状態に戻すことが可能です。
ケースやベルトなどの外部パーツに関しては、交換をすると本来のデザイン性の高さを損ねてしまう可能性があるため、多少の傷に関してはリペアに出さないという選択肢もあります。
1960年以前の機械式腕時計でもリペアできるケースはたくさんあるため、これからアンティーク時計の購入を考えていた人は安心したと思います。
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